あなたの日常の中で、心が苛まれるほどに嫌いな人がいるとしたら。
その相手が、恐怖さえ覚えるほどの存在になっているならば、
その人は、この世に生れ落ちる以前に、あなたが自ら、ある役目を依頼した相手かもしれません。
否、往々にしてそうでしょう。
袖振り合うも他生の縁
日本には、人とのご縁を大切にする教えの言葉があります。
道すがら、袖が触れ合った人でさえ、前世からの因縁があるという意味です。
良きにしろ悪しきにしろ、あなたの心を揺さぶるほどの相手とは、あなたを突き動かそうとする相手です。
人は、神の子としての使命を担い、地球に肉体を持って舞い降りたときから、魂の記憶をなくします。
地球という物質社会で五感を通して様々な経験を積み、義務を果たして生きる中、ややもすれば、物質社会のみの価値観に囚われ、魂の目的を忘れます。
その時です。
進むべき魂の道に迷い、方向を見失ってしまった時、或いは使命に添うべき時期となった時、
今の状態から脱し、新たな成長の場へ向かうあなたの背中を押す役目。
あなたに嫌われながら、憎まれながら、あなたを光の方向へと押し出す役目。
あなたの魂の計画に、不可欠な、大切な転機の時を教える役目。
あなたなら、誰にそのような重要な役を頼むでしょう。
信頼出来る友、ではないでしょうか。
魂の目線で見れば、転機が分かる。
顔も見たくない、消えてしまえとさえ願ってしまう、忌々しい、嫌いな人。
憎らしいほどに嫉妬してしまう人。逆に、憧れてやまない理想の人など。
良きにしろ悪きにしろ、あなたの心を揺さぶる人とは、あなたを魂の選ぶ道へと押し出す人達です。
魂の目線で見れば、特に嫌いな人は、
ぐずぐずしていてはいけないよと、あなたが使命に取りかかるよう促し、鼓舞し、策励せんとする、魂の古き友なのです。
人が、真実の姿、神の子としての自我を思い出すためには、「揺さぶり」が必要です。
不幸も困難も、嫌な出来事も、嫌いな人も、それらによる悲しみや苦しみという凄まじい揺さぶりによって、休眠状態の魂が目覚めます。
そうして霊的思考に導かれ、物事の本当の意味、真実を知り、苦しみや悲しみから解放されるようになっているのです。
見えざる策励に気づきましょう。
魂の約束を思い出し、転機を知るのです。
嫌いな人に捉われず、自分のことだけに焦点を当てて考えてみてください。
今あなたのいる場所は、あなたのいるべき場所ですか?
今のあなたの考えは、利己主義に陥ってはいませんか?
魂の選ぶ道は、利他主義が敷かれた幸せと豊かさの道です。
利己主義を選ぶ以上、苦難や悲哀から免れることはありません。
何故なら利己主義の根底には我欲が潜んでいるからです。
個性を築き、肉体を使い、能力を発揮し、他人に対する寛容や慈悲の心をもって他者に奉仕する。
魂の進化を促す行い、すなわち、魂の道とは、そこにあります。
魂の誓いを忠実に遂行してくれた友の苦心を、無駄にしてはいけません。
嫌いな人の見えざる策励に気づいてください。
あなたが、その友の奉仕に気づくことなく、悪意や恨みや不信や嫉妬を抱き続ければ、その義理堅い旧友は、何度でも別の仮面をつけて、あなたの人生に登場するでしょう。
全ては、あなたとの誓いを守るためなのです。
慈悲の心と寛容さをもって嫌いな人を消し、正道を歩み始めれば、あなたの心は愛で満たされます。
それは魂の目線で見れば、友への感謝の念です。
嫌な役目を果たしてくれた古き友に、感謝せずにはいられないのです。